経営法務ニュースVol.51|2025.09
北海道東川町に行ってきました
休暇を頂いて、北海道の東川町というところに行ってきました。
北海道のほぼ中央にあり、旭川市に隣接しています。
東川町は上水道が無く、全戸地下水で賄っているという珍しい町です。
宿泊施設を備えたレストラン、いわゆるオーベルジュに宿泊しました。
料理も美味しく、気温も快適で、大自然に囲まれてリフレッシュできました。
仕事からも少しだけ離れて、最近良く耳にするヒグマにだけは出会わないことを祈りながら、緩やかに過ごしました。
帰りたくなくなる気持ちになんとか打ち勝ち帰ってきました。
帰ってきたら帰ってきたで、福岡もいい場所です。
蒸し暑さ以外は。

オーベルジュの部屋から
今回の記事
- 経営法務TOPICS
- 大阪地裁令和6年11月29日判決に見る労災と雇用の関係-労災支給中でも解雇は認められる?-
- 労災による休業期間は原則解雇は禁止
- 労災休業期間中でも解雇が認められるケースとは
- 労基署の判断と裁判所の判断は別々
労災と解雇
最近従業員の休業に関する相談が増えています。特に精神疾患などの問題も多くなっているように思います。
業務による怪我、病気の治療のために休業している従業員がいらっしゃる会社も多いと思いますが、基本的に休業中とその後30日間は解雇が原則として禁止されています(解雇制限)。
業務による怪我、病気は、いわゆる「労災」ですが、労災による治療期間中(正確には治療終了後30日間まで)は解雇はできないということです。
怪我、病気による休業には、業務によるものと業務によらない「私傷病」に分けられますが、今回は業務によるものについて説明します。
解雇制限が適用されないケース
上記の通り、基本的に労災の場合には、解雇はできませんが、解雇ができるケースとしては以下のようなものがあります。
①治癒した後30日が経過した場合
これは、さきほど説明した通りですが、治癒して30日が経過すれば、解雇制限は適用されないということになります。
ここでいう「治癒」とは「完治」ではなく、必要な治療が終わった段階(症状固定)を言います。
今後、治療をしても改善する見込みがない場合には、治癒したという扱いになり、その後残った症状は、後遺障害の問題となります。
②通勤災害の場合
同じ労災でも、通勤災害の場合には、解雇の制限は適用されません。
そのため、私傷病による休業などと同様、休職期間満了等により退職、解雇といった扱いを検討することが可能です。
③契約社員の雇止め
労災は、正社員であろうが、契約社員であろうが、適用されますが、契約社員の契約期間満了による雇止め時には、解雇の制限は適用されません。
④打切補償
治療中の従業員が、治療開始後3年を経過しても治療が終了しない時は、会社としては、従業員の平均賃金の1200日分を支払うことによって、その従業員を解雇することが認められています。
ただ、1200日分というのは、40か月分の給与ということなので、かなり高額になります。
⑤定年退職
定年に達した場合には、労災で休業していたとしても、退職したものとして扱うことが可能です。
- ※注意点
- 解雇制限が適用されない=解雇が自由にできるではありません。解雇するためには解雇するための要件を別途満たす必要があります。
労災が支給されていても解雇が認められた事例
労災は、主に労働基準監督署が判断します。
ただ、労働基準監督署の判断と現場の会社の判断は食い違うケースがあります。
仕事中に怪我をしたとなれば、労災には該当する可能性が高いのはわかりやすいですが、精神疾患などの問題においては、これが業務上のものなのか、私病なのかの判断は難しいです。
基本的に、労働基準監督署が労災と判断しても、のちの訴訟等で異なる判断(業務上の病気ではない)がなされるケースはあり、別々に検討する必要があります。
また、解雇制限の前提となる治療中なのかどうか(治癒したのか否か)も判断が分かれるケースがあります。
大阪地裁令和6年11月29日判決の事例は、従業員がうつ病を発症し、長時間労働が原因として労災認定され、従業員は労災から休業補償給付を受けていました。
しかし、会社は、休業開始から約3年9か月後にこの従業員を解雇しました(この時点で労災はまだ支給されていました。)。
従業員からは、当然、労災での治療期間中は解雇が制限されるという主張をしましたが、裁判所は、カルテ等の従業員の通院状況などから、従業員のうつ病は症状固定の状態であったと判断して、「精神または身体に故障があるか、または虚弱、傷病、その他の理由により職務に堪えられない」という解雇事由があるとして、解雇を認めました。
労災の判断と現場の判断の違い
精神疾患などについては労働基準監督署の判断に時間を要するケースも多く(半年から1年等)、その間の会社の対応(業務上の病気として解雇ができないのか、業務上の病気ではないと判断して休業期間満了として扱うのか等)は非常に悩ましいケースも多いです。
判断が明らかなケースではない限りは、基本的に労基署の判断があるまでは休業という扱いで対応するのが一般的だと思います。
労災の対応は解雇の問題の他にも、その後の会社に対する損害賠償請求(労災からは休業損害や逸失利益の一部しか補償されず、慰謝料も補償されないため、その分について会社に請求があるもの)の対応など、難しい対応が迫られます。
何か労災に関してお困りのことがありましたら、ご相談ください。