経営法務ニュースVol.30(2023年12月号)
【はじめに】相撲入門
私の妻は相撲ファンで、九州場所の観戦にも連れて行かれる一緒に行くのですが、先月も福岡国際センターに九州場所の観戦に行きました。
以前は、相撲にも全く興味がなく中継などを見ていても、
- 「立ち会いのときの呼吸を合わせるって何?なんで『よーいどん』じゃないの?」
- 「体が死んでるって何?なんでそんな微妙な基準なの?」
などと口出しして、ぶちかましされそうな目つきで睨まれていました。
しかし今ではようやく、スポーツと神事を融合させている独特の雰囲気を理解できるようになり、家庭に平和が訪れています。
- 今回の記事
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- 経営法務TOPICS労働条件明示ルールの変更について(2024年4月〜)
今年の3月の労働基準法規則及び関連する告示の改正により労働条件の明示のルールが若干変更になっており、2024年4月から施行されるので注意が必要です。
主な改正点は、
- ①無期転換申込権が発生する契約更新時に、無期転換申込機会と無期転換後の労働条件を明示すること
- ②通算契約期間又は更新回数に上限がある場合には上限について書面で明示すること
- ③労働契約締結時における労働条件明示事項に、就業の場所及び従事すべき業務の「変更の範囲」を追加すること
①②は無期転換ルールに関するもので、③は全労働者に関係するものです。
有期契約については、5年間を越えて有期契約を更新している場合には、無期転換権という無期契約に変更する権利が有期契約社員に与えられるというルールが無期転換ルールです。
このため、5年目の更新の際に、更新を拒否するなど、無期転換権が発生する前に、雇い止めをするなどの会社の態様が問題として新聞などで取り上げられました。
これに対して、
- 無期転換申込機会があることや無期転換後の労働条件が変わる場合にはそれを明示する必要があるとされ(①)、
- 有期契約の更新回数などに上限がある場合はそれを明示しなければなりません(②)。
これらの改正は、上記で問題として取り上げた紛争を未然に防止することを目的とされているところですが、会社側としては労働条件について、さらに明確にするよう義務付けられた形ですので、対応が必要です。
これらの規定がないことが「直ちに雇い止めなどが無効」と判断されるものではないと思われますが、その有効性に影響を与える事実になると思いますので、雇用契約書、労働条件通知書の見直しを進められることをお勧めします。
ちなみに、厚労省がモデル労働条件通知書が提供されていますので、参考にされてください。