経営法務ニュースVol.63|2026.09
打ち上げ花火、中から見るか?外から見るか?
10年ぶりに関門海峡の花火を見に行きました。
先日の熊本地震の影響で開催も危ぶまれていましたが、無事開催されました。
昨年できた関門海峡の眼の前にある「リゾナーレ下関」というホテルがちょうど空いていたので、そこに宿泊して、部屋から花火を鑑賞しました。
涼しいし快適に見ることができました。
関門海峡の花火は、門司側、下関側両方から花火が打ち上がります。
しかし、部屋の角度の問題から、門司側しか見れないことに途中で気づきました。
下関側の花火はちょうど真横で上がっており、花火の切れ端だけが見えました。

今回の記事
- 経営法務TOPICS
- 少数株主、ほっておいても大丈夫?
- 少数株主は「おとなしい存在」ではなく、会社法上の権利を持つ
- 譲渡制限であっても対策は万能ではない
- 少数株主問題は、関係が良好なうちに手を打つことが唯一の正解
「昔から少し株を持ってもらっているだけで、経営には口を出してこない。特に問題ないよ」中小企業の経営者からよく聞く言葉です。
しかし、この「ほっておいても大丈夫」という感覚が、ある日突然大きなトラブルを引き起こします。
少数株主の「権利」
少数株主はたとえ数株しか持っていなくても、会社法上の権利が認められています。
株式の3%以上を持つ株主は、株主総会の招集を会社に請求することができます。
帳簿や会計書類の閲覧を求めることも可能です。
さらに、取締役に不正があると判断すれば、解任を求める訴えを裁判所に起こすこともできます。
今はおとなしくしているように見えても、何かのきっかけ——たとえばその株主が亡くなって相続人が引き継いだ、あるいは経営方針に不満を持ち始めた——という瞬間に、これらの権利が一気に行使されることがあります。
「株を売りたい」と言われたとき、何が起きるか
少数株主問題が具体的に動き出す場面の一つが、「株を誰かに売りたい」という申し出です。
中小企業のほとんどは定款に株式の譲渡制限規定を設けています。
これは「株式を第三者に売る際は、会社(取締役会等)の承認が必要」というルールです。
見知らぬ人物が株主になることを防ぐための仕組みで、ここまでは多くの経営者も知っています。
問題は、その承認を求める請求が届いた後です。
会社法上、譲渡承認請求を受けた会社は、原則として2週間以内に承認するかどうかを通知しなければなりません。
この期限を過ぎると、法律上は「承認した」とみなされます。
つまり、対応せずに放置していたら、会社が望まない相手に株式が渡ってしまうのです。
「忙しくて後回しにしていた」「どう対応すればいいか分からなかった」では通りません。
2週間という期限は非常に短く、気づいたときには手遅れになっているケースも実際に起きています。
「拒否すればいい」は間違い
では、2週間以内に「承認しない」と通知すれば解決するでしょうか?
残念ながら、それだけでは終わりません。
譲渡を承認しなかった場合、会社は自社か指定買取人が、その株式を買い取る義務を負います。
「売らせない」と言ったからには、自分たちで引き取らなければならないのです。
買取価格は当事者間の協議で決め、折り合いがつかなければ裁判所が決定します。
買取のための財源確保も必要になるため、事前の準備なしには対応できません。
裁判所の決定する額は、いわゆる「時価額」であり、額面額や税務上の評価額ではありません。
社長が想像しているより高額になる可能性もあります。
ちなみに、中小企業の株でも、少数株主がコンサルティング会社に売ろうとしているという話を耳にするようになりました。
広告などを目にした方もいると思いますが、株式の買取事業をしている(コンサルティング)会社などがあります。
通常は非上場株式は換価が難しいのですが、会社に対して「承認するのか、買い取るか、どちらかを選べ」と突きつけてきます。
関係が良好な「今」こそ動くとき
少数株主問題は、関係が悪化してからでは手の打ちようがなくなります。
株主が「売りたい」「権利を行使したい」と言い出した後では、話し合いも困難です。
経営者が今すぐできることは、まず自社の株主構成を正確に把握すること、そして少数株主との関係を定期的に確認しておくことです。
将来の株式買取に備えた財源の準備、定款の整備、場合によっては株主間契約の締結なども、早期に検討すべき対策です。
「ほっておいても大丈夫」な少数株主は存在しません。
今日から、少し目を向けてみてください。



