経営法務ニュースVol.54|2025.12
【重要】メールアドレス変更のお知らせ
これまで「siki@kowalaw.jp」のメールアドレスを使用しておりましたが、「iki@lawyer-iki.jp」に変更致しました。
お手数おかけしますが、今後のご連絡は、iki@lawyer-iki.jp(このメールニュースの送信アドレスと同じです。)までお願いいたします。
※siki@kowalaw.jpについてもしばらくは並行して利用する予定ですので、個別にもメールアドレスの変更のご案内はさせて頂く予定です。メールアドレスを変更した理由については、下記で記載しています。大した話ではないです。
今回の記事
- 経営法務TOPICS
- 社長、その契約書は危険です。サンプル契約書の注意点
- TOPICS
- メールアドレス変更の経緯(しき弁護士と呼ばないで)
- 自社にとって完璧な契約書というものはない。
- サンプル契約書には、一方に有利なものがある。
- どの契約書にもある一般条項の注意点3つ
社長島耕作は言いました。
残念ながら、そんな素晴らしい完璧な契約書はありません。
トラブルのリスクを全て織り込むことは現実的には難しいでしょうし、そんな契約書に相手はサインしてくれないでしょう。
弁護士によるリーガルチェックも、発生しうるリスクをどの程度織り込めるかを、相手との力関係を含めどの程度修正できるかを考えながら提案させていただいています。
ただ、なかなか会社で一から契約書を作るというのは難しいものです。
そんななか、新しい取引先との契約などで、「ネットで拾ったテンプレート」や「生成AIで作成した契約書」「以前使った契約書の使い回し」などで済ませていたりはしないでしょうか。
一般的に契約に関する法律は、民法、会社法等のいわゆる民事法という分野で定められていますが、原則として、契約自由の原則といって、個別に自由に契約条項を定めることができます。
もっとも、以下のように特別なルールが定められているケースもありますが、基本的にいは自由というのが法律上のルールです。
例えば、
- 賃貸借契約における借地借家法として賃借人が保護されていたり
- 消費者契約法として消費者が保護されていたり
- 下請法として一定の条項が禁止されていたり
などです。
民法などの民事法で定められるルールは、特に決め事を作らなかったときの基本的なルールになります。
その意味で民法通りのことが書いてある契約書が、どちらにとっても有利、不利とはいえず、民法より一方にとって不利となっているものが、その一方にとっては不利、他方にとっては有利な契約と考えることができます。
つまり、契約書のフォーマットには、
- どちらかに有利な内容で定められているもの
- どちらも有利とは言えない一般的なもの
があります。
それが一般的には、見てすぐは分からないし、わざわざこれが「〇〇側に有利」な契約などと書かれていないのが分かりづらいところです。
契約書のフォーマットを使うこと自体を否定するつもりはありませんが、まずは自社にとって有利な内容の契約なのか否かを判断することが重要です。
最悪なのは、間違って不利な契約書の内容を相手取引先に渡してしまっているようなケースです。
個別の契約書における注意すべきポイントは様々ありますが、今回は、基本的にどの契約にもあるような条項について、ポイントを3点だけお伝えします。
相手に契約違反があったときは、損害賠償の請求をすることができます。
しかし、契約書の内容によっては、その損害賠償請求が制限されている場合があります。
例えば、金額の上限が定められていたり、故意、重過失の場合に限定されていたりなどです。
この場合、何らかの義務を提供する方が義務違反に該当しやすく、提供される側が損害賠償を請求する立場に立ちやすいと思われます。(厳密には、双方が義務があるのが一般的な契約ですが、役務や物品の提供などをする方と理解していただいたほうが良いと思います。)
その意味で、自社が何らかの義務を提供する立場になる場合には、賠償責任が制限されている条項の方が有利であるといえるでしょう。
秘密保持条項は簡単に言えば、相手から提供された秘密をしっかりと保持し、漏洩しないように管理する義務ですが、当然、これは情報の提供を受ける側が多くの義務を負います。
つまり、情報提供を受ける側からすれば、「秘密情報」は少ないほうが良いです。
提供される全ての情報を「秘密情報」としている秘密保持条項と、「秘密」と明示したうえで提供された情報のみを「秘密情報」としている秘密保持条項、どちらが、情報提供を受ける側にとって有利かがわかると思います。
契約期間の定め方は様々です。
「◯年間」という契約にして、自動更新になる契約や、更新などの定めはない契約、解約はいつでも自由にできる契約などなどです。
契約期間については、契約をするに当たって、コスト(投下資本)がある場合には、一定の契約期間を必要とするケースもあります。
にも関わらず、いつでも解約できる条項がある場合には、早期に契約が終了してしまうリスクがあります。
中途解約ができる条項は削除して貰う必要などがあります。
訴訟になったときに、〇〇地裁を専属的合意管轄裁判所とするといった合意がされることが多くあります。これは、〇〇地方裁判所でしか訴訟提起できないという趣旨です。
遠方である場合、自社の近くにいる弁護士が出張するのにコストを要したりなどすることから、基本的に自社に近い場所を専属的合意管轄裁判所とするのが有利とされています。
ただ、これは事業者間の取引ではあまり意味はないことが多いです。
訴訟になった場合においては、双方代理人弁護士がつくケースが多いので、その場合WEBでの裁判が原則になるので、わざわざ出張する必要はほとんど無いためです。
個人との取引において、効果がある程度というイメージでも良いかもしれません。
以上のようなポイントも参考に、契約書の有利不利などを見極める必要があります。
メールアドレス変更の経緯(しき弁護士と呼ばないで)
私は、普段の業務でメールは、GoogleWorkspaceのGmail(いわゆる有料版Gmail)を利用しているのですが、このGmailで、来年から他のドメインのメールを見ることができなくなります(かなりざっくり説明しています)。
そのため、スムーズなメール確認などに支障があることなどから、メールアドレスを変更することになりました。同じ様な環境の方はお気をつけ下さい。
ちなみに、旧メールアドレスは、siki@kowalaw.jp で、この「siki」は、Shindai iki(名前の1文字目+苗字)からきているのですが、「しき先生」と間違われる頻度がかなりあります。
これも変えたかった理由の一つです。



