経営法務ニュースVol.18(2022年12月号)

はじめに

鴻和法律事務所 弁護士・中小企業診断士 壹岐晋大のメールニュースです。

今回の記事
  • 経営法務TOPICS来年こそは事業承継計画-年末年始で考える3つのポイント-
  • TOPICS弁護士登録10周年を迎えます

経営法務TOPICS来年こそは事業承継計画
-年末年始で考える3つのポイント-

「事業承継」が重要であることはどの経営者も分かっています。

事業承継、後回しにしていませんか?
事業承継、後回しにしていませんか?

等々、行動に移せない経営者も多いでしょう。

計画から実際に引き継ぐまでに5〜10年かかります。

始めなければ承継できません。

準備をせずに承継した結果、会社が潰れてしまうかもしれません。

普段は様々な業務に追われている経営者の方々も、この年末年始には少しだけ時間を取れるのではないでしょうか。

年末年始に来期の事業計画を立てたいと考えている方もいるでしょう。

その中に「事業承継」も加えてみませんか。

里帰りしてくる後継者候補とも話ができる良い機会という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

事業承継は、法律だけではなく相続税対策などの税務面、後継者教育などの経営面、資産形成などの保険の活用など考えなければならないことはたくさんありますが、この年末年始で3点だけ決めて、動き出しませんか?

年末年始で考える3つのポイントは、以下のとおりです。

事業承継-年末年始に決めること3点
事業承継-年末年始に決めること3点

「そんな当たり前のこと、、」と思われるかもしれませんが、これがなかなか決まりません。

いつまでに承継するのか
いつまでに承継するのか

  • 後継者である息子が、東京でもう少し経験を積んだら・・
  • もう少し事業が成長すれば・・
  • あのプロジェクトが一段落すれば・・

と具体的な時期が決まらない場合も多いです。

しかし、これは承継の時期を決めて動き出すほかありません

決めた時期からさかのぼって計画を立てていくのです。

後継者が東京で大きくなりお孫さんが進学したりすると、家族が動けない・・など、承継の時期を明確にしないまま承継自体が困難となる事情が出てくる可能性もあります。

「5〜10年かかるのならば、65歳になるあと7年で引き継ぐ!」 と決めて、そこから具体的な計画を立てていきます。

当然、税務上の問題などを考慮して、後に修正をすることもあります。

これは、 “いつまでに承継する” という目標を設定することで、後継者にも承継を明確に意識してもらう効果もあります。

決めきれなければ私と一緒に決めましょう。

誰を後継者にするのか
誰を後継者にするのか

そもそも、候補者が見つからないという場合もあるでしょう。

親族ではなく従業員を後継者として選択される方もいますが、銀行からの融資がつかなかったり、後に社内で紛争化したり難しい面も多いです。

その結果、M&Aとなる、という結果もよく目にします。

後継者を決めていたとしても、その後継者本人は、本当に引き継ぐ気はあるのでしょうか。

後継者本人に明確に伝えていない場合には、年末年始に話をしてみるのも大事だと思います。

面と向かって話をしてみると、後継者も「実は早く引き継ぎたいと思っていた・・」など、意外な発見があったりするものです。

誰に相談するのか
誰に相談するのか

私に是非ご相談いただきたいところですが、、

やはり事業承継に関しては専門家のサポートが必要になります。

しかし、事業承継は専門家一人だけでは成功しません。

私には、法律問題のアドバイザーという弁護士という側面と、経営に関するアドバイザーとしての中小企業診断士という側面がありますが、税務の問題や、保険の問題等々事業承継に関する全てをアドバイスできるわけではありません。

そのため、私にご相談いただいた場合は、他の専門家の方とチームで対応します。

専門家に相談しても「この問題は、別の人に聞いて下さい」という対応では、経営者にとって窓口が複数になってしまいます。

また、専門家同士での意見の食い違いによりスムーズに進まないケースもあります。

事業承継は、経営者が自ら作り上げてきた思いを引き継ぐという側面が強く、サポートする立場の専門家としても、経営者自身の思い、こだわりを充分に理解した上で、関わる必要があると思います。

顧問の税理士の先生や、M&Aの場合、M&A仲介業者でもよいでしょう。

まずはアポを取りましょう。

それでも不安がある場合には、遠慮なくご相談下さい。

TOPICS弁護士登録10周年を迎えます

10周年
10周年

2012年12月20日に弁護士登録をして、今月20日に10周年を迎えることになりました。

10年間という一区切りを迎えることが出来るのも皆様のおかげです。

感謝申し上げます。

現在、中小企業の経営者の方々からの相談対応を主たる業務としておりますが、弁護士登録当初は、社会人1年目でもあり、企業経営に関しては右も左もわからない状態でした。

弁護士として活動する中で、経営者の方々と懇親会、ゴルフ等で話をする機会は、私にとって非常に楽しい時間でした。

経営者の方々は若輩者の私に、「経営とは何か」を教えていただきました。

主にはオーナー経営者の方々ですが、経営者としての考え方、マインドに触れさせていただくことができました。

経営者というのは、様々な苦労や修羅場を乗り越えてきた方々であるため魅力的な方も多く、表現は悪いですが「クセ」が強い方も多いです。

また、経営者は孤独であるともよく言われますが、相談相手も少なく、休める日もほとんどない中、答えのない課題に直面しています。

弁護士登録当初の私は、「経営者」という役職は、強い権限を持ち、自由度も収入も高い良い仕事なのだと漠然と理解しておりましたが、実際には従業員の雇用を守るべく、日々大きな重圧の中で指揮を執る仕事であることを理解し、その経営者の大事にする考え方を理解した上で、法的な面でも経営的な面でもサポートをしたいと考えるようになりました。

私は、経営の理論面を学び、中小企業診断士という資格を取りました。

しかし、机上では先程述べた経営者のマインドはなかなか理解できません。

また、理屈で人は動きません。

思いやその行動に触れて、従業員や取引先の方々に影響を与え、経営ができるのだと思います。

これからも多くの経営者の方々の思いを理解しながら、企業が発展していけるためのサポートをすべく努力を重ねてまいりますので、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。