経営法務ニュースVol.41|2024.12
夢のエスコンフィールドHOKKAIDO
私は福岡県弁護士会(弁護士が加入が義務付けられている団体)の野球チームに所属しています。
各都道府県の弁護士会の野球チームの全国大会が毎年各地持ち回りで開催されているのですが、今年は札幌開催で、その会場はなんと昨年完成した北海道日本ハムファイターズの本拠地エスコンフィールドHOKKAIDOで、先月中旬に2日間に渡って開催されました。
この全国大会は各地の予選を勝ち上がった8チームのみが参加できるのですが、福岡県弁護士会チームもなんとか予選を勝ち上がり、全国大会に出場できました。
エスコンフィールドは(今のところ)天然芝で、、、、と語り始めると止まらないので、結論だけ申し上げると・・・・
3年ぶりに野球チームに復帰(公私共に忙しく2年お休みしていました)した私もなんとかライパチ(8番ライト)でスタメン出場できましたが、大した活躍もできず残念ながら初戦敗退となってしまいました。
ただ、エスコンフィールドで野球をするというなかなか無い貴重な機会を満喫してきました。
ちなみに・・分かる方には分かると思いますが、谷保恵美さん(「サブローーーーーー」の人)に場内アナウンスをお願いしており、私の名前もアナウンスしてもらいました。
今回の記事
- 経営法務TOPICS
- 建設業者だけの法律ではない!?改正建設業法対応のポイント
- 雑感
- 2024年振り返り
宅建業法、旅館業法、食品衛生法、保険業法など、いわゆる「業法」があり、規制業種は、いくつもありますが、基本的に規制の対象となっているのは、その業種を営む事業者のみです。
しかし、建設工事等に関する規制である建設業法は、建設業者のみならず、建設業者に発注する発注者に対しても、規制が設けられています。
つまり、建設業者ではない皆様も規制の対象となり得ます。
その建設業法が、発注者に対する規制が強化される改正建設業法が今年の6月に成立し、今年から来年にかけて施行されます。
ちなみに、「建設工事」というのは、何も事業者のビルを建築するといった大掛かりなものだけではなく、オフィス内装工事なども建設工事に該当します。
発注者に対する建設業法の規制を簡単に整理してみました。
まず、現行法における発注者に対する規制としては、
- ①契約書作成義務
- これは、建設業者に対する規制でもありますが、工事内容、代金額、工期など法で定められた事項について契約書を作成する必要があります。
- ②不当に低い請負金額の禁止
- 不当に低いという基準は難しいですが、その工事に通常必要と認められる原価に満たない額で請け負わせてはいけません。
- ③著しく短い工期の禁止
- こちらも判断が難しいところですが、通常必要と認められる期間より著しく短い工期は禁止されています。
- ④所定の見積もり期間の設定義務
- 見積書は早期に提示されたほうが良いですが、発注者としては、重要事項をできる限り具体的に提示したうえで、下記のとおり一定の見積もり期間を設けなければなりません。
- 予定金額が500万円未満→中1日以上
- 予定金額が500万円以上5,000万円未満→中10日以上
- 予定金額が5,000万円以上→中15日以上
といったものがあります。
いずれも、建設業界における高齢化や若者離れなどからくる人手不足から、強い立場である発注者からの無理な要求を緩和すべく求められているものです。
今回の改正法では、
- ①標準労務費を著しく下回る見積依頼・契約の禁止
- もとより不当に低い請負金額は禁止されていましたが、建設業者から労務費などを記載した見積書が提供された場合には、発注者は、契約締結にあたりその内容を考慮すべき努力義務が課されました。
そして、発注者が建設業者に対して、通常必要と認められる労務費などの額を著しく下回ることとなるような見積もり変更を求めることが禁止されています。
- ②事情変更に伴う変更協議
- 建設業界では資材の価格高騰が続いています。
そのような状況から、工期が長いものなどは、当初受注した契約内容から請負代金の見直しが必要になる場面も珍しくありません。
そこで、価格高騰などに伴う請負代金の変更方法が、契約書の記載事項となりました。
また、建設業者側には、資材の入手困難などに関するおそれのある情報について、契約締結前に通知する義務が課され、その情報提供された事象が実際に発生した場合には、契約書所定の変更方法に従った変更協議の申し入れを受けた発注者は、正当な理由がない限り、誠実に協議に応じる努力義務が課されるようになりました。
以上が概要ではあり、まだ努力義務とされている部分もあり、それに違反したとて直ちに行政処分や損害賠償義務が発生するというわけではないものもありますが、建設業者に工事を発注する場合においては、建設業法の考慮も必要になることには注意が必要です。
【雑感】2024年振り返り
今年も残すところ、1か月を切りました。
2024年も、昨年と比べ顧問先様も増えるなど、皆様から多くのご相談をいただきました。ありがとうございました。
来年も法改正や裁判例の研鑽に励みながら、事業者様のビジネスのサポートができるよう日々努力していきたいと思います。
私個人としては中小企業に関わる法分野の知識は当然として、相談のしやすさや、レスポンスの速さなどを意識して仕事に取り組んでおりますが、「『法律上、認められない』とばっさり切るのではなく、厳しい中での戦い方をアドバイスしてくれる」と評価していただく機会が何度もあり、このような意識も引き続き大事にしてきたいと感じる1年でした。