経営法務ニュースVol.56|2026.02
富士山
先日、山梨の河口湖に行ってきました。
大学生の頃に富士山の山頂まで登ったことがありますが、それ以降は、富士山を近くで見ることはなかったので、でかい山を近くで見たいという小学生みたいな理由で行きました。
ただ、福岡からはかなり遠いです。
飛行機で羽田、羽田から新宿まで行って、そこから特急を2つ乗りついで、、、自宅を9時前に出て、ホテルについたのは16時頃でした。
河口湖にいる間は天気もよく綺麗で雄大な富士山を拝むことができました。
富士山のようにでっかい男になろうという小学生みたいな感想を抱いて帰ってきました。
今回の記事
- 経営法務TOPICS
- 退職従業員の営業を辞めさせたい-どこまでできる?退職後の競業避止-
- 退職後でも合意があれば競業避止はできる
- 有効性の考え方は、会社の必要性と、退職従業員の不利益のバランス
- 合意書の取り方のポイントは入社時+退職時
頭を悩ませる従業員退職問題
とある退職代行業者が弁護士法違反で問題となったニュースもありましたが、まだまだ退職代行を使って辞める方は多くいらっしゃいます。
少し気に入らないことがあればすぐ辞めてしまう方もいたり、「静かな退職」という言葉も流行るなど、頭を悩ませている経営者の方も多いのではないでしょうか。
- ※静かな退職
- 実際に会社を辞めるのではなく、仕事への熱意を抑え、必要最低限の業務のみを淡々とこなす働き方のことをこのように表現します。
労務問題で一番多い相談は、従業員の退職や解雇など、会社を辞める時に関する問題です。
従業員が会社を辞めると伝えてきたときに、会社としてはそれを拒否はできません。
当然慰留してそのまま働いてもらうよう説得することなどはできます。
法律上は、2週間で退職できるとされており、就業規則などで1か月前までに申し出なければならないなどと定めてあっても、それは無効であり事実上の牽制的な機能があるにすぎません。
退職後の競業避止義務
さて、どうしても辞めると言われた場合には、退職を受け入れるしかないのですが、従業員は会社の顧客情報などの秘密情報を持っています。
職種によっては転職後に別の会社に移籍して、その情報を流用してしまうという問題があります。
これは、会社としてはどこまで制限できるのでしょうか。
顧問先の業種の問題もありますが、私は比較的そのような案件を扱う機会が多いです。
基本的な考えとして、会社と従業員の契約は雇用契約に基づいているので、雇用契約が終了したあとに、従業員を縛ることは原則としてはできません。
ただ、別途、合意等をすることによって、一定の範囲で制限することができます。
例えば、顧客情報などの秘密情報を社外において利用することを制限したり、同業他社への転職やもとの会社の顧客に対する営業行為などを制限したりするにあたり、合意をするケースが一般的です。
そして、実際には誓約書や合意書などでその条件について個別に合意することが多いでしょう。
では、同業他社への転職や会社の顧客に対する営業行為などを制限する、いわゆる競業避止義務がどこまでできるのかという観点で検討してみたいと思います。
競業避止義務の有効性の判断基準
どこからが無効なのかという明確な線引はありません。
ケースバイケースで考えられますが、ある程度のラインというのは理解していただければと思います。
この競業避止がどこまで有効かは
と
のバランスで考えられます。
ざっくりといえば、会社にとって制限する必要が極めて高ければ、厳しい制限ができるし、そこまで高くないといえれば厳しい制限はできないのです。
そのため、一律の基準がありません。
では、会社にとっての必要性はどのように考えるのでしょうか。
まず競業避止をしたい理由です。
- 顧客の維持
- 情報の流出を回避(その入手、維持のためにどの程度のコストを掛けたか等)
などがあるでしょう。
そして、
- その従業員がどのような立場(役職)にあったか(役職が高く多くの秘密情報を管理している場合は制限する必要性も高くなります)
- その顧客と従業員との関係性(入社時前から関係を有していた等、入手のコストに影響します。)
という点も上記の理由に影響します。
まずは、そこを明確にしましょう。
例えば、「現状の顧客の維持」という点を目的とした場合には、従業員の転職自体を制限したり、同業における営業行為を禁止する必要性はないわけです。
では、「技術情報の流出を回避」という目的も追加すればいい!と思われるかもしれませんが、これは本当にそのような目的があるかは検証されます。
だいたい適当に考えた目的は根拠が示せないものです。
そして、次に必要性があるとして、どこまで制限していいのかという点です。
制限の合理的な範囲とは?
憲法で定める人権として職業選択の自由があることなども考慮され、合理的な範囲までしか制限できません。
- 同業他社への転職を制限?
- 競業(営業)行為を制限?
- 競業(営業)行為(自社の顧客のみ)?
- 1年?
- 2年?
- 会社が所在する都道府県?
- 全国?
範囲については、目的から考えられますが、主には顧客の維持という目的が多いことからすると、自社の顧客のみの制限という問題になるでしょう。
また、期間は感覚として2年を超えてくるとなかなか難しくなってきます。
エリア自体は、その会社の営業範囲に応じて決めることになるでしょう。
さらに、追加で検討するのは、代償措置の有無です。
競業避止を制限する代わりに、何らかの補償をしたか否かです。
補償の種類としては、退職時に支払うものもありますが、機密保持手当などを支給したりして、他の従業員より高い給与を支払っていたりするケースでもよいです。
中小企業において、この代償措置を提供するケースは少ないですし、実際に提供するかどうかは、代償措置なしで有効かどうかを検討したうえでということになりますが、無効の可能性が高いのであれば、検討の必要性は大きいと思います。
合意書作成のタイミング
最後に、これらは基本的に合意書などを作成する必要があります。
「この合意書は、無理やり書かされたもので無効である」という主張が裁判ではよく出てきます。
基本的に
に作成したほうが、有効性が高くなります。
取りづらければ取りづらいほど、ちゃんと合意したと判断されるということです。
私としては、一番書いてもらいやすい入社時に作成してもらい、退社時にも確認的に作成してもらう、というのが良いのではないかと思います。(一度作成しているので、作成してもらいやすいです。)
おわりに
以上が退職する従業員に対する競業避止義務の概要ですが、在職中にも競業行為をしていた従業員のケースでは、さらに強い制限を認める裁判例など、その他の考慮事情もあります。
そもそも厳しい制限であれば、従業員のモチベーションなどにも大きく影響するものなので、このバランスは難しいところです。
合意書の作成方法などでお悩みの方はいつでもご相談下さい。



